「遺留分」とは、被相続人の財産の中で、法律上その取得が一定の相続人に留保されてい て、被相続人による自由な処分(贈与・遺贈)に制限が加えられている持分的利益をいいます。
少し分かりづらい内容なので、具体的な場面を想定して説明します。
<ケース> 被相続人:父 相続人:長男B、次男C
被相続人である父Aの相続人が、長男Bと次男Cのみであるとします。父Aは、生前、遺言を作成しており、その遺言には、「全財産をBに相続させる」と書かれていました。
このような内容が書かれていたとしても、次男Cは、長男Bに対して「私には法に定められた割合分の相続財産を取得することができる」と主張することができます。この取得できる利益のことを、「遺留分」といいます。
1.「遺留分の侵害」
先ほどのケースの場合、遺言に書かれている内容からすると、次男Cが相続する財産はな
いことになりそうです。しかし、次男Cには法によって保護された「遺留分」がありました
ね。つまり、父Aが作成した遺言は、次男Cに保護された「遺留分」すら与えない内容とな
っており、この状態を「遺留分の侵害」といいます。
2.遺留分減殺請求
遺留分減殺請求とは、遺留分を侵害されている相続人が、遺留分を侵害している者に対し
て、その侵害額を請求することをいいます。
先ほどのケースでいうと、遺留分を侵害された次男Cが、遺留分を侵害している長男Bに
対して、その侵害額を自身に渡せと請求することです。
遺留分減殺請求は、必ずしも訴訟で行わなければならない訳ではなく、相手方に遺留分減殺請求権を行使するとの意思表示が到達することで足ります。
ただ、訴訟外で意思表示を行う場合は、遺留分減殺請求権を行使する意思表示を行ったことの証拠を残すために、内容証明郵便で行うべきでしょう。
遺留分減殺請求権は、いつまでも行使できるわけではなく、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から、1年間行わない場合に時効によって消滅します。
また、たとえ、遺留分権利者が相続の開始や減殺すべき贈与が遺贈があったことを知らなかったとしても、相続の開始の時から10年を経過した場合は、やはり時効によって消滅します。
このように、遺留分減殺請求権は、わずか1年間で消滅してしまう危険があります。そこで、自身の遺留分が侵害されているかもしれないと、少しでも疑問が生じた場合は、すぐに法律家に相談するほうがよいと思います。
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